契約社員で更新が続くとき、無期転換と転職のどちらを先に確かめる?通算5年・更新上限・求人票の見方

更新日: 2026年10月27日

条件・お金

更新の書類の、署名欄のすぐ上。いつもは読み飛ばしていた小さな一行に、今年は目が止まった。「契約期間 1年、更新あり」。この会社で働き始めてから何か月になるのか、指を折って数えようとして、入社した月がすぐには出てこない。 この記事は、そんな更新の時期に、「無期転換を申し込む」と「転職する」を並べて考える前に、先に確かめられることを、厚生労働省の公開資料で確認できた範囲に絞って整理したものです。あなたの契約が無期転換の対象かどうか、どちらを選ぶべきかは、この記事では判断しません。

分かれ道マップ

いま、いちばん近いのはどれですか

状況を開くと、この記事で先に読む場所が出ます。

契約の更新を前に、いま引っかかっているのは、どれに近いですか

  • 自分の契約が通算で何年になっているのか、数え方が分からない
    結論

    数え方の決まりは、起点の日付、同じ会社かどうか、契約と契約のあいだの空白、の三つです。資料の記載を並べました。

    確認1 無期転換と通算の数え方
  • 無期転換すると正社員になれるのか、給料は変わるのか知りたい
    結論

    資料は、無期転換は契約期間が有期から無期に変わるルールで、転換後の区分は会社によって違う、と説明しています。

    確認2 無期転換は正社員とは限らない
  • 「更新は5年まで」「更新は3回まで」と言われた、書かれていた
    結論

    更新の上限そのものは、直ちに法律違反ではないと資料は書いています。ただし、書面での明示、理由の説明、雇止めの予告など、会社側に求められていることがあります。

    確認3 更新上限と雇止め
  • 転職を考えている。次の求人票や労働条件通知書のどこを見ればいいか
    結論

    2024年4月から、求人票や労働条件通知書に書く事項が増えました。契約期間、更新の基準、更新上限、無期転換の申込機会などを、資料の記載から並べました。

    確認4 次の求人票で見る欄
  • 会社から言われたことが、おかしい気がする。どこに聞けばいいか
    結論

    無期転換ルールには、都道府県労働局に専用の相談窓口があると資料に書かれています。総合労働相談コーナーも、雇止めの相談を受けています。

    確認5 相談できる窓口

確認1 無期転換と、通算5年の数え方

厚生労働省の「無期転換ルールについて」のページによると、無期転換ルールは、同じ使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合に、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みによって、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールです。申込みをすると無期労働契約が成立し、使用者は断ることができない、と書かれています。同省の「無期転換ルールのよくある質問(Q&A)」(2025年12月版)は、契約社員やパート、アルバイトといった名称は問わない、としています。

ただし、自動で転換されるわけではありません。Q&Aは、労働者自身が「申込み」をすることが必要、と書いています。次の表は、ページとQ&Aの記載を、自分の契約書で見る場所と並べたものです。右の欄は編集部の整理です。

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通算5年の数え方(2026年10月27日に確認。資料の言葉を要約)
項目 資料の記載 自分の契約書で見る場所(編集部の整理)
数え始める日 平成25年(2013年)4月1日以降に開始した有期労働契約から数える。それより前の契約期間は、通算に入らない いまの会社との最初の契約書の開始日
申込権が出る時期 契約期間が1年の場合は5回目の更新後の1年間に、3年の場合は1回目の更新後の3年間に、申込権が発生する 契約期間の長さと、これまでの更新の回数
申し込める期間 通算が5年を超えている場合、その契約期間の初日から末日までの間、いつでも申込みができる。申込みをせずに更新した場合は、新しい契約期間の初日から末日までの間にも申込みができる いまの契約の末日(期限の目安)
申込みの方法 口頭でも法律上は有効。後日の争いを避けるため、書面での申込みを勧めている 申込書の様式が社内にあるか
転換の時期 無期労働契約になるのは、申込み時の有期労働契約が終わる日の翌日から いまの契約の末日の翌日
「同じ使用者」の範囲 事業場ごとではなく、契約の相手が法人なら法人単位で判断する。同じ会社の中で職種・職務や支店が変わっても、契約期間は通算される 契約書の会社名(法人名)。部署や勤務地ではなく
契約のあいだの空白 契約がない期間(無契約期間)が続くと、それより前の契約期間が通算から外れる(クーリング)。無契約期間の前の通算が1年以上なら、無契約期間が6か月以上で外れ、6か月未満なら通算される。通算が1年未満の場合は、その半分(端数は1か月単位で切り上げ)より無契約期間が長いと外れる 退職と再雇用のあいだに空いた月数。Q&Aの早見表で確かめる
派遣社員の場合 派遣先ではなく、派遣会社(派遣元)との契約で通算する。申込みも派遣会社に行う 派遣元との契約書の期間
例外 高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者や、定年後に引き続き雇用される人は、都道府県労働局長の認定を受けた事業主のもとでは申込権が発生しない期間がある。大学等・研究開発法人の研究者・教員等は、5年が10年になる特例がある 自分が例外に当たるかは、この記事では判断しない

転職との関係で気をつけたいのは、「同じ使用者との間で」数える、という点です。この定義から編集部が読むと、別の会社に移れば、その会社との契約を最初から数え直すことになります(出向・転籍・合併・グループ会社の場合の扱いは、確認できていません)。いまの会社で通算が5年に近いのか、まだ遠いのかは、転職か残るかを考えるときの材料のひとつになります。

また、会社が就業規則で「無期転換の申込みは契約満了日の1か月前まで」のように期限を定めること自体は、禁止されていないと、Q&Aは書いています。ただしその場合でも、法律上は契約期間が満了する日までの申込みで無期労働契約が成立するとされているため、社内の期限を過ぎていても契約の満了日までに行った申込みが有効とされる可能性もある、とあります(Q&Aは、労働者が期限までに、真意に基づいて申込権を行使しない旨を示した場合は別、とも書いています)。気になるときは、社内の規定を確かめたうえで、労働局の窓口(確認5)に聞く場面です。

確認2 無期転換は、正社員になることとは限らない

Q&Aは、無期転換ルールは契約期間を有期から無期に転換するルールで、転換後の雇用区分は会社によって制度が異なるため、一概には言えない、と書いています。給与や待遇などの労働条件は、労働協約・就業規則・個々の労働契約に別段の定めがある部分を除き、直前の有期労働契約と同一になる、ともあります。つまり、無期になることと、賞与や昇給、役職の道が開けることは、別の話として確かめる必要があります(この部分は編集部の整理です)。

2024年4月からは、無期転換申込権が発生する契約の更新のとき、会社は「無期転換を申し込める旨(無期転換申込機会)」と「無期転換後の労働条件」を、書面で明示しなければならなくなりました。さらに、無期転換後の労働条件を決めるにあたって、正社員などとのバランスを考慮した事項を、有期契約労働者に説明するよう努めることとされています(Q&AのQ11・Q12と、Q&A末尾の「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」の表)。更新の書類に、この二つが書かれているかは、見ておける点です。

正社員との待遇の差については、厚生労働省の労働契約法のページが、短時間労働者・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第8条で、同じ企業の中の正社員と有期雇用労働者との不合理な待遇差が禁止されている、と書いています。個別の待遇差が不合理かどうかは、この記事では判断できません。

なお、厚生労働省は2025年12月に、無期転換ルールや「多様な正社員」(職務、勤務地、労働時間を限定した正社員)の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例をまとめた資料を公表しています。本文は今回読んでおらず、公表された事実だけを紹介します。

確認3 更新上限と雇止め。資料に書かれていること

「更新は通算5年まで」「更新は3回まで」のような上限について、Q&A(Q19)は、更新年限や更新回数の上限を設けること自体が、直ちに法律違反となるものではない、と書いています。そのうえで、契約の満了前に会社が一方的に上限を設けても、雇止めが許されない場合がある、とも書いています(雇止めの有効性は、労働契約法第19条の「雇止め法理」で最終的には司法判断される、とあります)。次の表は、会社側に求められていることを、資料から並べたものです。

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更新上限・雇止めに関する会社側のルール(2026年10月27日に確認。資料の言葉を要約)
項目 資料の記載 見る場所(編集部の整理)
上限の明示 有期労働契約の締結時と更新時に、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容を明示する。2024年4月1日から追加された明示事項 契約書・労働条件通知書の契約期間の欄
上限を新設・短縮するとき 最初の契約より後に、更新上限を新たに設ける、または短縮する場合は、その理由を、新設・短縮する前に、あらかじめ労働者に説明しなければならない(「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」。令和6年4月1日改正) 上限の話が出たのが、いつ、どんな説明つきだったか
雇止めの予告 契約を更新しない場合は、少なくとも契約期間が満了する日の30日前までに予告する。対象は、3回以上更新されている場合、1年以下の契約が更新されて最初の契約から通算1年を超える場合、1年を超える期間の契約を結んでいる場合。あらかじめ更新しない旨が明示されている場合は除く 自分の契約が三つの対象のどれかに当たるか
雇止めの理由 予告後に労働者が理由の証明書を請求した場合、会社は遅滞なく交付する。雇止めの後に請求された場合も同様。理由は「契約期間の満了」とは別の理由とすることが必要 請求できる書面の名前を、人事に聞いておく
申込権が出る前の雇止め 無期転換ルールの適用を免れる意図で、申込権が発生する前に雇止めをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくない、と書かれている。形式的な空白期間を設けて再雇用を約束したうえでの雇止めも、望ましくないとされている この記事では、個別の事案が当たるかは判断しない

この表を、自分の状況に当てはめる手順は、編集部の整理です。(1)契約書から、いまの契約の末日と、これまでの更新の回数を書き出す。(2)通算が5年を超えているなら、申込みの期限として、いまの契約の末日を押さえる。(3)まだ5年に届かないなら、上限があるか、それが契約書に書かれているか、いつ決まったかを確かめる。(4)上限の話が突然出たなら、理由の説明があったかを思い出して書き留める。判断に迷う部分は、確認5の窓口に聞けます。

確認4 転職を考えるなら、次の求人票や通知書で見る欄

厚生労働省の求職者向けリーフレット「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」(2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則)によると、求人企業が明示する労働条件に、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」が加わりました。記載例には「期間の定めあり」「契約の更新 有」「更新上限 有(通算契約期間の上限 ●年/更新回数の上限 ●回)」とあります。さらに、労働基準法にもとづく契約締結・更新時の明示でも、同じ改正で、更新上限のほか、無期転換申込権が発生する更新のときの無期転換申込機会などが、明示事項に加わっています(確認2・確認3)。

同じリーフレットは、更新の基準について「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」のような抽象的な書き方ではなく、「勤務成績、態度により判断する」「会社の経営状況により判断する」のように具体的に書くことが望ましい、とも書いています。

次の七つは、資料に書かれていることを、求人票・面接・労働条件通知書で確かめる点に直したものです。聞き方は編集部の整理です。

  1. 契約期間は、期間の定めがあるか、ないか: 求人票の雇用形態の名前(「契約社員」「嘱託」など)だけでは決まらず、契約期間の欄を見る
  2. 更新の有無と、更新の基準: 「勤務成績」「業務量」など、何で判断するのかが具体的に書かれているか
  3. 更新上限があるか。あるなら年数か回数か: 「上限なし」なのか、書かれていないだけなのかは、聞いて確かめる
  4. (上限があるとき)上限に達した後の扱い: 資料には、上限に達した後の正社員登用などの記載は確認できていません。制度の有無や実績は、会社に聞くしかありません
  5. 無期転換申込権が発生する時期と、そのときの手続き: 更新の書類で、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を明示する決まりになっていること(確認2)
  6. 業務と就業場所の「変更の範囲」: 雇入れ直後だけでなく、将来の配置転換の見込みまで含めた範囲であること
  7. 賃金と手当、加入する保険: 契約社員と正社員で何が違うかを、同じ項目で見比べる

求人広告のスペースが足りないなどやむを得ない場合は、「詳細は面談時にお伝えします」などと付して、労働条件の一部を別のタイミングで明示することもできる、とリーフレットは書いています。その場合は原則として、面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件が明示されることになっています。明らかになっていない労働条件がないか、面接で確かめることが大切、とあります。面接で待遇を聞く言い方は面接の逆質問で給与・待遇を聞いてもいい?に、内定後に通知書で確かめる順番は内定後の条件確認・入社日調整で気をつけたいことにあります。入社後に書面と実際が違うと感じたときの動き方は入社して数か月で「思っていたのと違う」と感じたときにまとめています。

いまの会社を辞めてから次の会社に入るまでの間が空くときは、健康保険・年金・雇用保険の手続きの期限も関わります。退職日と入社日のあいだが空くときに、期限つきで整理しています。派遣や期間従業員の求人の読み方は、工場・製造の求人を探す前に確認したいこと(広告を含む記事です)にも触れています。エージェントを通して求人を探すなら、タイプ別・エージェント選び方診断(広告を含むページです)で、自分に近いタイプを確かめられます。

確認5 相談できる窓口

Q&A(2025年12月版)の末尾には、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に置かれた「無期転換ルール特別相談窓口」の、都道府県ごとの電話番号が載っています。雇止めでお困りの場合は、ここに相談するよう、Q&A(Q20)にも書かれています。電話番号は変わることがあるため、この記事には書き写さず、資料の最新版で確かめてください。

また、厚生労働省の「総合労働相談コーナーのご案内」によると、総合労働相談コーナーは、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用など、あらゆる分野の労働問題を対象にしています。予約不要・無料で、面談か電話での相談です。ただし同省のページには、専門の相談員が不在の日時もあり、予約制ではないが念のため事前に連絡することが勧められている、との注記があります。土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁しています。労働基準法などの法律違反の疑いがあるときは、行政指導の権限を持つ担当部署に取り次ぐ、とも書かれています。所在地と電話番号は、同省のページで都道府県ごとに確認できます。個別の契約が無期転換の対象か、雇止めが認められるかといった判断は、これらの窓口や、社会保険労務士・弁護士などの専門家に確かめる場面です。

今週のチェックリスト

ここは編集部の整理で、効果を確かめた手順ではありません。

まとめ

無期転換は、同じ会社との契約が通算5年を超えたときに、労働者が申し込むことで、契約期間が有期から無期に変わるルールです。通算の数え方、無期転換は正社員とは限らないこと、更新上限と雇止めの予告、次の求人票で見る欄は、公式資料に説明があります。無期転換と転職のどちらが合うかは、資料からは言えません。その手前で、自分の契約が何年目で、どこまで書面になっているかを確かめられます。 机の上の更新書類の横に、「入社月・いまの契約の末日・更新上限の有無」の三行を書いたメモがある。担当者に「ここを教えてください」と指して聞くとき、手元の紙を見ながら話せる。転職の面談でも、「更新はどう判断されますか」と、質問の形に直して口にできる。 次の更新の署名欄の前に、あなたが最初に数えるのは、年でしょうか、月でしょうか。

本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。法律や制度は改正されることがあります。個別の契約が無期転換の対象か、雇止めが認められるか、どの窓口が適切かは、無期転換ルール特別相談窓口・総合労働相談コーナーの窓口、または社会保険労務士・弁護士などの専門家にご確認ください。 更新や転職の結果について、特定の結果を保証するものではありません。 タイプ別・エージェント選び方診断は、広告を含むページです。